所長あいさつ

 

所長 前田正治
(福島県立医科大学 医学部
 災害こころの医学講座 主任教授)

 令和5年12月1日より、ふくしま心のケアセンター所長を務めている前田と申します。当センターは東日本大震災の翌年である平成24年に設立され、現在まで10年以上の長きにわたり被災者・避難者の方々、あるいは被災地にお住まいの方々のメンタルヘルスの維持や向上に努めてまいりました。東日本大震災とその後の福島第一原子力発電所事故は、きわめて長期に及ぶ避難生活を多くの方々に強いてきました。被災された住民の方々が長期的な避難生活や環境の変化に伴って生活習慣病を患ったり、うつ病などのメンタルヘルス問題を抱えたりすることもまったく珍しいことではありません。こうした被災した住民の方々への支援を展開するために、医師や保健師・看護師、ソーシャルワーカー、臨床心理士、作業療法士など多職種のチームが、自宅訪問や来所あるいは電話相談、グループ活動などを展開しています。また直接住民の方々にお会いするばかりではなく、県内で活動する様々な支援者と連携したり、研修等の人材育成活動を行ったりと、地域支援力の強化・増進にも取り組んでまいりました。
 震災後13年目を迎える現在、震災からの復興は進んでいる一方で、今なお約2万7千名の被災住民が避難生活を送られ、被災市町村もまた多くの課題を抱えています。私たちの活動に期待される役割も大きく、それを果たすべくこれからも努力していく所存です。皆様のご理解とご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

令和5年12月1日