所長あいさつ

 

ご挨拶

ふくしま心のケアセンター所長 渡辺 厚

 平成29年4月から昼田源四郎前所長の後を継ぎ所長に就任しました渡辺厚です。よろしくお願い申し上げます。
 「心のケアセンター」は、広域にわたる甚大な災害が起こった時に国からの財源で設置されます。災害時の心のケアは、災害が起こった地域自治体の保健師や看護師など精神保健担当者が任に当たりますが、災害が広域かつ甚大な場合には、被災者が多数におよび、また、自治体職員も被災者となるため必要とされる心のケアの業務を充分に果たすことができなくなります。そこで、その業務を補完するために組織されるのが、心のケアの専門家集団からなる「心のケアセンター」です。「心のケアセンター」が初めて設置されたのは阪神・淡路大震災の後に「兵庫県こころのケアセンター」で、次に、新潟県中越地震後に「新潟県精神保健福祉協会こころのケアセンター」が置かれ、そして、東日本大震災で岩手県、宮城県、福島県の3県に相次いで設置されました。その後、熊本大地震でも「熊本こころのケアセンター」が設置されております。
 「ふくしま心のケアセンター」は平成24年2月に、福島県精神保健福祉協会が福島県から委託を受けて設置されました。福島県は、地震、津波だけでなく、福島第一原子力発電所事故による放射能災害も起こり未曾有の複合災害を受けました。発災当時、原発事故被災者は避難のために転居を繰り返し、地域のみならず家族も分断されました。心のケアに当たる自治体職員は自らが被災者でもあり多忙を極め疲弊しました。そのような状況で心のケア事業を補完すべく、精神科医、保健師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士、社会福祉士などからなる多職種チームで組織された「ふくしま心のケアセンター」が設置されました。以来これまで、医療・保健・福祉・生活など、被災された方々の多様なニーズに対応すべく活動してきました。
 原発事故被災者の皆さんを取り巻く状況は、発災時から激しく流動的でしたが、6年が過ぎても未だ収束は見えません。
今年(H29)の3-4月にかけて改めて浪江、川俣、飯館、富岡の一部が避難解除となりましたが、帰る人、帰らない人、帰りたいけど帰れない人など未だに流動的です。帰れない理由は様々ですが放射線の健康への影響や、就労、子育て、教育、買い物、隣近所とのつきあいなど、以前の生活ができない環境が大きいと思われます。これまで当センターで受けた相談内容を見ますと、①身体症状の訴え、②気分情動に関する症状、③睡眠の問題、が3大症状ですが、避難も中長期になるにつれ、これらに加えアルコール問題が増えています。将来に希望が持てず、人と関わることが苦手になり、社会から遠ざかってしまう方たちがうつやアルコール問題につながりやすく、特にアルコール問題を持つ方は相談支援対象として年々増加しています。
 今後、「ふくしま心のケアセンター」は、長期避難自治体の帰還が始まるなど復興のプロセスの進行により、被災者の居住地が流動的になっていることを踏まえ、被災者への切れ目のない支援の実施と新たなメンタルヘルス課題の対処ができるセンター組織に組織体制を整備していきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。
(平成29年6月)